a picture is worth a thousand words

その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

『消失グラデーション』と樋口真由”消失”シリーズ

ライアーゲーム参加者の皆さん

こんにちは、いとです。

 

更新をしばらく怠ってしまい申し訳ありません。

それというのも先日、社員旅行で名古屋に行っていたのです。

その内容はいずれしっかりと書きますが、この旅行で心に残った出来事がありました。

実は自分は大の方向オンチで少し移動をするとすぐ方角の感覚を狂わされてしまい、迷ってしまいます。

スマートフォンが普及し、『GoogleMaps』が気軽に使えるようになってからというもの、あまりそういうこともなくなったのですが地下鉄や屋内等、ナビが及ばない部分では未だに迷ってしまいます。

そんな訳で当然、名古屋駅の地下で迷ってしまい、人に道を尋ねようと目についた女性に話しかけました。

茶髪のボブヘアーの女性はにこやかに途中まで一緒に付いて来てくれ、別れ際に「最初の曲がり角を右だよ」と教えてくれました。

なんて親切で可愛い女性なんだ!と思いながら感謝の言葉を述べ最初の曲がり角を右に曲がりしばらくすると・・・

 

そこは、茶髪のボブヘアーの女性にあった場所でした。戻ってきてんじゃねーか。

そう、この時僕はやっと気づいたのです。ライアーゲームは既に始まっているということに・・・。


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そんなことはともかく、

最近オススメされた小説『消失グラデーション』から始まる樋口真由”消失”シリーズを読み終えました。

※ここから先は『消失グラデーション』で使われた物語に使われたネタをオチまでは言いませんが若干ネタバレします。気にする人は見ないようにお願いします。

 

 

 

 

 

消失グラデーション (角川文庫)

消失グラデーション (角川文庫)

 

まずは1作目『消失グラデーション』。

問題児の椎名は女子バスケ部のエースが屋上から転落したような姿で倒れているのを発見。しかし、何者かに昏倒させられ気が付くとエースの姿は消えていた・・・。

少女消失の謎と美人探偵樋口真由の活躍を問題児の椎名の視点から描き、横溝正史ミステリ大賞を受賞した作品ですが、はっきり言ってあまり好きではなかったです。

何故かと言うとこの作品の根幹には『叙述トリック』という手法が使われているからです。

 

叙述トリック』というのは物語の語り手がとある物事を意図的に書かなかったり、また勘違いをさせる書き方をし読者を誤認させる方法です。

例えば「私は怒りのあまりリンゴを地面に叩きつけた。」という文章があったとします。

普通であれば皆さんはこの文章の中のリンゴをappleのリンゴを想像すると思いますが、実際は

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リンゴ・スターのことだったりするわけですね。

というか、

『リトル・フォレスト 夏編・秋編』と時代遅れの僕 - a picture is worth a thousand words

この回でやってるマックGの下りなんかはもろに『叙述トリック』ですね。

 

この『消失グラデーション』ではその『叙述トリック』で騙した内容を元に推理を展開しなければ根幹に辿りつけず非常に推理小説としてアンフェアに感じます。

もちろんアガサ・クリスティが生み出したこの手法で好きな小説もあります。綾辻行人による『迷路館の殺人』や三津田信三の『厭魅の如き憑くもの』は上手くこの手法を取り入れていると感じます。

しかし、この『消失グラデーション』は語り手が意図的に物事を隠しているだけでなく登場人物の会話すらオチを知った後に読むと不自然極まりなく、

「ああ、全部はこのオチに持っていくためにあるんだな」とさえ思えてしまいました。

 

続いて2作目『夏服パースペクティブ』。

新進気鋭の監督、真壁梓の新作映画に参加することになった映画研究部部長遊佐渉と樋口真由は撮影合宿で真壁の用意した様々なアクシデントに遭遇する。やがてその用意されたアクシデントが本物のアクシデントに変わり・・・。

 

「お前散々に言っといて2作目読んでるじゃねーか」と思った方もいると思います。

何故あれほどまで言っておいて2作目を読んだかというと、1作目の登場人物が魅力的だったからです。 

直情的な椎名康とサバサバ系の代表のような樋口真由のコンビが両方共好印象で内容はともかく続きを見たくなっていました。

 

しかし、『夏服パースペクティブ』はとにかく土台作りが長い。

その土台作りの長さは割と自体が深刻になるまで何もしてくれない

水戸黄門 サウンドトラック

水戸黄門』が暴力に訴えるまでの時間ばりに長く、450ページの小説で自体が動き出すのは300ページを越えてからです。

動き出してからの内容は面白く、この作品の探偵ポジションである樋口真由の魅力たっぷりだったのでもうちょっと導入をどうにかならないのか、と思いました。

犯人との最後の会話も切なく後半部分はとにかく好きな作品です。

 

現段階での最新作『冬空トランス』。

遊佐渉と樋口真由を中心とした中編集。

 

表題作である『冬空トランス』はぶっ飛んだトリックでありながらしっかりと伏線が貼られているのでアンフェアではなく、ミステリとして上物です。

しかし、この作品シリーズの探偵役樋口真由は前述した通り好きなキャラクタなのですが、物語の語り手である遊佐渉が嫌いで仕方ありません。

1作目のみの主人公、椎名康が好きだっただけに欲望のみに動いている

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シンのような遊佐渉は嫌いなんです。

それでも異色のミステリとしては『モザイクとフェリスウィール』も『夏風邪とキス以上のこと』も好きな部類なのです。

 

以上です。

しかし、それにしても非常にアレな表紙ですよね。

一言言っておかねばならないでのですが、僕はミステリ小説が好きなのであって、決して女子高生が好きなわけではないんですよ。

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本当なんですって。お願いしますよホント・・・。