【映画レビュー】南極料理人【90点】
邦画ならではの空気感がなせる最高に好きな料理映画
・短評
独特の空気感と美味しそうな料理、洋画邦画問わず1番好きな料理映画
・あらすじ
海上保安庁の西村淳(堺雅人)の任務は1年半の間、南極観測隊に同行し彼等の食事を用意すること。
通常の世界から切り離された男だけの空間で時に問題が起こり、時に協力しながら彼等の日々が過ぎて行く…。
・感想
実在の西村淳によるエッセイ『面白南極料理人』をもとに実写映画化した作品。
以前の記事で料理映画が好きだと語らせていただきましたが、実は洋画邦画問わずあらゆる料理映画の中で1番好きな作品がこの『南極料理人』。
始めてこの映画を観たのは随分と前なのですが、それ以降は半年に一回のペースで観てるほどの個人的に大当たりの作品です。
今作の魅力は「シュールな会話」とやはり何と言っても「美味しそうな料理」。
南極観測隊のメンバーはそれぞれの分野のエキスパートが招集されます。
それ故に各自の個性は強く、また同じ場所で1年半も過ごすとは言え友人ではなくあくまでも同僚。
そのなんとも言えない関係性からなる、会話はシュールではあるのですがヤケに頭に残るのです。
実話がもとと言うのにびっくりするほどエキセントリックなキャラも多く、
夜な夜なバーを開く医者(1番好きな人物です)、ラーメンをこよなく愛する体長、こっそりとバターを食べる通信担当、ストレスのあまり脱走を考える車両担当など通常の映画でも見かけないような色の濃い登場人物たちが閉鎖空間の物語を盛り上げます。
そして、「料理映画」と言うだけあって劇中で西村くんの作る料理はどれも美味しそうなのがたまりません。
フレンチのフルコース、伊勢海老のエビフライ、カニなど様々な料理が出てくるのですが、
この映画を観終わった後に毎回無性に食べたくなるのが「おにぎり」です。
いくらや鮭などが入ったおにぎりを食べながら味噌汁を飲む様子はお腹を空かせた状態で観るのは危険とすら思えます。
多少のネタバレになってしまうので少し間をあけます。
この映画の中で特に好きなシーンはラストの西村くんが帰路につくシーンです。
朝ご飯と言ういつもの日常がだんだんとフェードアウトしていき、誰もいなくなったドームふじ基地の内装が映される。
閉鎖空間で描かれていた日常が終わりを告げるシーンには自分が探していたわけではないのにも関わらず、どこかノスタルジィな気分になってしまいます。
この映画を観たのも今年で2回目。
また来年もきっと観ると思います。