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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】SP 野望篇【50点】

アクションも物語も良いが、細部が雑 

SP 野望篇 DVD特別版

SP 野望篇 DVD特別版

 
・短評

岡田くんの身体を張ったガチなアクションに反比例するリアリティ

 

・あらすじ

自分を見出し、何があっても信頼してくれていた上司の尾形総一郎(堤真一)の悪意に影響を受け、日々体調が悪化する井上薫岡田准一)。
一方で、最も勢いのある政治家、伊達國雄(香川照之)を含めた尾形の革命のシナリオは着実に進みつつあった……。

 

・感想

おいおいおい。
以前の記事でSPを誉めまくっていたのに点数低くない?と思った方も多くいらっしゃると思います。

 

そうなんです。
個人的にはドラマシリーズと最終作にあたる『SP 革命篇』は好きなのですが、最終作の前章にあたる今作はあまり好きではありません。
その理由が「リアリティの完全な欠如」でした。

 

序盤のチェイスシーンはやや長いですが、岡田くんの身体を張った追跡を楽しめますし特にこれといった違和感は覚えませんでした。


問題は物語の終盤における官房長官の護送シーンです。

 

敵が銃を持っているのは構いません。政府高官や警察などの上層部などが秘密裏に率いるテロ集団ですし銃くらい普通にあるでしょう。
しかし、せっかく銃を持ってきたのに全く撃ちません。
いや、実際は撃ってますけど窓ガラスを割ったり車のタイヤをパンクさせるくらいしか出来てません。そういう道具として持ってきたの?と錯覚するほど撃ちませんし実際に警護課のメンバーに銃を突き付けても撃ちませんでした。

 

一方で、主人公側も銃を向けるだけでこちらまた撃ちません。
まあ、いくらテロリストとは言え相手を殺害してしまうのはマズいのかもしれませんが、
その割には敵がボンネットに乗っている状態でフロントガラスを割るために射撃しますし(たまたま敵の持っていた消火器に当たっただけで済んだ)、
爆弾を敵が乗っている車の下に投げ返したりしていますし基準はガバガバのようです。

 

それ以外にも敵がとてもプロの殺し屋集団とは思えない行動をとります。


敵はとある目的を隠すために官房長官を狙ったフリで警護課のメンバーを襲うのですが、実際に官房長官に危害を与えられるチャンスが来ても凄むだけで一切危害を加えるそぶりすら見せないのですぐ岡田くんにバレてしまいます(素人かよこいつら)。


それに遠藤要演じる敵が警護課のメンバーを後ろからナイフで襲ったにも関わらず、他の敵と戦ってる間は待ってくれる謎のフェアプレイ精神ですしもう何が何やら分かりません。

 

さらに深夜とはいえ発砲と爆発が起きても野次馬も警察の応援は一切来ませんし僕の思う東京都とはかなりイメージが違います。

もう言い出すとキリがないのでこのあたりにしておきますが。

 

しかし、ここまでけなしておいてではありますが良い点も多くあります。


まず、この作品のために身体を鍛え上げた主演の岡田准一こと井上のチェイスを含めた戦闘シーンは格好良い以外の感想が出ません。


それに、堤真一香川照之など全体を通し演技派の俳優を揃えているため演技に何の問題もなく、国家を転覆させるような壮大な計画に引き込まれ、尾形と井上の関係性への言及も深いものとなっています。

 

それだけにやはり終盤の展開のリアリティの無さが悪目立ちし、足を引っ張ってしまっている感が勿体ないと思う作品です。