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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】サクラダリセット 前篇【60点】

独特な「静」の雰囲気が特徴的なティーン向け映画

サクラダリセット 前篇 [DVD]

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・短評

ブコメかと敬遠していたが意外と順当な能力物

 

・あらすじ

住民の半数が何かしらの特殊能力を持つという街、咲良田。
何の能力にも遮られない絶対の記憶保持の能力を持つ浅井ケイ(野村周平)はセーブした地点に時間を巻き戻すことの出来るリセットの能力を持つ春埼美空(黒島結菜)と共に行動し、
かつて自分たちの行ったリセットで死んでしまった相麻菫(平祐奈)を生き返らせるピースとなる能力者を探していた……。

 

・感想

まず始めに書いておきますが、僕は原作小説及びアニメを一切観ておらず、また後篇の鑑賞もしていません。
そのため、今回の記事はあくまで同名小説の実写版の前篇である『サクラダリセット 前篇』についてのみの感想となります。

 

突然ですが、僕は静岡県長泉町と言う場所に住んでいます。
今作では黒澤明の『七人の侍』でもロケ地として使われた長泉町屈指の観光名所、鮎壺の滝がロケ地として使われた撮影当初に地元で話題となり、
「あー、じゃあ、観てみるかー」などと思うだけ思っていたらいつの間にか上映が終わっているという寂しい状況でした。

 

基本的にどんな映画も観るようにしているのですが、やはりどうしてもラブコメだけは苦手で、宣伝を観ていた限りではこの映画も「能力物」を取ってつけただけのラブコメにしか見えませんでしたし、食指が全く動かなかったという部分もありました。


しかし、山崎賢人主演の『orange』あたりは主人公のメンタルの弱さと、親友のイケメンが不憫すぎる点はありましたがそこそこ面白かったのでレンタルが始まったら観てみようかなー、と思い鑑賞することになったのですが、これがなかなかに展開が練られている能力物でした。

 

ハンター×ハンター』や『ジョジョの奇妙な冒険』、一風変わった作品で言えば実写の『SPEC』など能力物にも様々な作品がありますが、今作で面白いと感じた部分は能力同士の組み合わせを重視していることでした。

記憶を完全の保持するケイの能力と時間を巻き戻すが記憶が無くなってしまう美空のリセット能力の組み合わせなど個ではなく複数で難題に挑む展開は能力物では珍しいような気がします。

 

しかし、一方で尺の都合なのか頭の良い人間の命を賭けた計画の根幹となる部分が「大して話したこともない人の良心」を頼りにしていると言う違和感だったり、物語の穴の多さはどうしても気になってしまい、
また、展開的には物凄く重要な前篇の集大成の部分があまりにもあっさりとしすぎていたことが僕としてはマイナスポイントでした。

 

作品内全体を漂う物静かで、逆にその静かさが不気味である不思議な雰囲気は架空の街である咲良田の不穏さを描いているかのようで個人的には好きで、
更に続編には『相棒』でお馴染みの及川光博が出演していると前篇の宣伝で知ったので後篇も観てみようと思います。