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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編【80点】

原作の中でも特に人気の高いエピソードを実写化した意欲作

・短評

多様な殺陣と藤原竜也の存在感を楽しめる漫画実写化邦画の成功例

 

・あらすじ

かつて影の人斬り役として活躍した緋村剣心佐藤健)の後任の志々雄真実(藤原竜也)はその行き過ぎた野心を危険視され明治維新の最中に暗殺された。
しかし、身体を焼かれてもなお生き延びた志々雄はその野心を拡大させ明治政府の転覆のため動き出した。
事態を危険視した政府は神谷活心流道場に身を寄せる緋村剣心に志々雄の討伐を依頼する……。

 

・感想

週刊少年ジャンプで連載されていた人気漫画『るろうに剣心』の実写化2、3作目となる作品。
原作の中でも特に人気である『京都編』を題材に前後2部作で描いた今作ですが、何度観ても実写化の成功例との太鼓判を押さざるを得ません。

 

まず最初に批判的な意見を書いておきます。
この作品、何と言っても尺が足りていません。

 

「原作から〇〇を削るな!」などは良く聞く実写化に対する非難ですが、個人的にこの意見には全く同調できません。
何せ原作と映画は別物なのですから、何を削ろうが何を加えようが1本の筋が通っていれば良いと僕は考えています。

 

ですが『るろうに剣心 京都大火編/伝説の最期編』はそれにしても尺が足りなさ過ぎて原作を読んでいない人にさえ、その尺の足りなさが如実に伝わる内容となってしまっています。

 

具体的に言うならば志々雄真実が率いる最強の剣客者たちである十本刀は実写版にも登場しますが、セリフが2分以上あるのは5人くらいです。
正直残りの5人のうち2人くらいはいつやられてたのかすら良くわからず、取りあえず登場だけはさせました感が強く残ります。

 

十本刀の不遇はまだ良いとしても、メイン各である左之助の扱いの雑さもとにかく気になって仕方ありません。
実写の都合上、明らかにファンタジー感のある技(志々雄の炎以外)を排除したため彼のメイン技である「二重の極み」は登場しませんが、それにしても彼の成長エピソード全削りは初見でも違和感が残ります。
公開の後にネットでも言われていた通り、左之助の扱いが雑なために最終戦では「決戦の場に居合わせたチンピラ」以上の何者でもなく、原作未読の鑑賞者すら同じ感想を持ったとすら言われています。

 

しかし、以上のマイナス要因があってもそれを覆すプラスの要素がこの作品にはあります。

 

それは何と言っても1作目から人気を集めていた殺陣の進化と志々雄役の藤原竜也の圧倒的な存在感です。

 

ワイヤーをガンガン使った殺陣と言うのは『グリーン・ディスティニー』や『HERO』のような中国映画の独壇場でしたが、『るろうに剣心』は世界中で絶賛され日本にもそのブームが訪れました。


中国映画との殺陣の絶対的な差は「ファンタジー感を抑えたあくまでも重力的な殺陣」な部分だと思っています。

 

もちろん、登場するキャラの多くは人間には不可能な動きやファンタジックな戦闘方法をしますが「できなくもなさそう」と思わせてくれる重力感が殺陣の格好良さに繋がっています。

また、前作とは違い殺陣の種類も大人数戦・格闘・トンファー・二刀流など多様で特に後編の志々雄戦における4対1の演出は原作を実写に落とし入れた最高の形だと思っています。

 

そして、この映画のもう一つの魅力である藤原竜也の存在感。


「志々雄真実」と言うキャラの魅力と、藤原竜也らしい演技が重なる考え得る限りの最高な志々雄真実のキャストで、純然たる悪なのにも関わらず最後は物凄く格好良いと言うカリスマを見事に再現しています。

本当に本当に大好きな実写化の1つで、この映画をまだ観ずに邦画を叩いている人にはぜひ観て欲しい作品です。