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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】ブレードランナー ファイナルカット【90点】

高画質で楽しむ、サイバーパンクの金字塔

・短評

万人受けはしないが世界観や考察の余地を残しながらも切ない物語で文句なしの名作

 

・あらすじ

2019年、宇宙開拓を続ける人類はレプリカントと呼ばれる人造人間を奴隷のように酷使し、荒廃する地球からの脱却を図っていた。
しかし、一部の感情が芽生えたレプリカントが人間を殺害後、脱走し地球へと潜伏。
人間に反旗を翻したレプリカントを狩る専門捜査官ブレードランナーデッカードハリソン・フォード)が潜伏した4人のレプリカントを狩るため呼び出される……。

 

・感想

今作は1982年に公開された『ブレードランナー』を監督であるリドリー・スコット自身が2007年に再編集した25周年記念バージョンです。
35年の月日が経ち『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴズリングを主演に迎え、ハリソン・フォードが同役を演じた続編『ブレードランナー2049』の公開が今週末に控えたので再鑑賞しました。

 

まず再鑑賞して感じたことですが、25周年記念の再編集版であるファイナルカットではデジタルでの画質のブラッシュアップと高画質での特撮シーンを採用しているため、35年前の映像なのにも関わらずとてつもなく綺麗です。
ファイナルカット自体もブルーレイを購入しているため、幾度となく鑑賞しているのですがやはり観るたびに世界観と高画質の融合に驚かされます。

 

この映画は世界観がとにかく独特で、今よりも技術が進んだ未来を描いているにも関わらず今よりも退廃的で荒廃的な街並みを持つ、いわゆる「サイバーパンク」と言う世界観の原型になった作品とすら言われています。
詳しく調べたことはないですが、夜景をバックに高層ビルが立ち並び、排煙を垂れ流す煙突がそこかしこに並ぶ様子は間違いなく『FINAL FANTASY VII』や『イノセンス』が参考にしているだろうと感じました。

 

当時、SFと言う宣伝から派手なアクションや同時期に公開された『E.T.』のような作品を求めた人たちへの評判が悪く、興行収入自体もかなり悪いものでした。

確かに、物語自体はかなり地味です。

 

レプリカントを狩るブレードランナーが主人公なので、派手なアクションを期待してしまいますが、終盤に少し戦闘シーンがあるのみでその他では主人公はほとんど戦闘をしません。


どちらかと言えば、この物語の主軸はレプリカントと言う「人が奴隷のように使うために生み出した感情を持つ機械」が人の安全を守るために4年と言う短い寿命を与えられたことに対し、生を感じ怒りや悲しみを覚える哲学的な内容なのです。

 

「全ての記憶は時が来れば失われる。雨の中の涙のように」


ルトガー・ハウアー演じる脱走したレプリカントの放つ言葉は(実はアドリブなのですが)この映画の骨子とも言える「命の意味について」が問いかけられているようで心に響いてきました。

 

ハリソン・フォード演じるデッカードの正体についての考察などこの映画には面白い部分がいくらでもあるのですが、全てを語りきるのが難しいので今回はこのくらいにしておきます。
とにかく、今週末の『ブレードランナー2049』が楽しみで仕方ありません。