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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】007 ムーンレイカー【65点】

007 宇宙へ

・短評

今もなお超えられることのない、シリーズ随一のスケールの壮大さ

 

・あらすじ

米国のスペースシャトルムーンレイカー」が英国への輸送中に何者かに盗まれた。
手口の巧妙さから見えない勢力が暗躍していると確信した英国政府はボンド(ロジャー・ムーア)を派遣する……。

 

・感想

007シリーズ11作目。当時『スター・ウォーズ』の影響で空前のSF映画ブームの中撮影された異色の007映画です。

 

2000年代中盤ほどからリアリティ性の高い作品が好まれる風潮が映画業界では強く、007シリーズもその波に乗るためダニエル・クレイグが6代目ボンドに就任した『007 カジノロワイヤル』では荒唐無稽な要素は姿を潜め、リアリティ路線で絶大な評価を得ました。
その後もその路線は続き『007 慰めの報酬』『007 スカイフォール』と話が重く目立った秘密兵器(新Q曰く時代遅れ)も登場しない作品が続きました。

 

もちろん僕はダニエル・クレイグの007も大好きです。


カジノロワイヤルを始めた鑑賞した時には序盤のパルクールの連発と最後のセリフに鳥肌が立ちましたし、スカイフォールもその構成の隙の無さは何度観ても驚嘆の限りです。

 

でも、違うんです。僕が007に見せて欲しいのは敵の大規模な計画と、それを潰す007の大活躍なのです。
スペクターはまあまあ巨大組織感あったけどまだショボいし、何だよ水の利権とか見捨てられた復讐って……もっと規模の大きい007を見せてくれよ!とそんな思いで過去作を復習していたのですが、やはり今作はずば抜けて頭のおかしい作品でした。
何せ、敵の行おうとしてることは全人類の抹殺計画ですし『キングスマン』は明らかに今作を参考にしています(キングスマン劇中でも多少仄めかすセリフが登場します)。

 

まず、前作である『007 私を愛したスパイ』から登場する名敵役ジョーズの初っ端からの登場にまず燃えます。
シリーズを通しても唯一と言える(もう一人呪術師みたいのがいた気もする)何をされても死なない上に作品を跨いで登場する珍しいタイプの敵役として人気のキャラですが、今作では第2の主人公と言えるほど意外な展開を迎えます。
この理不尽かつ唐突な登場には『ワイルドスピード SKY MISSION』のジェイソン・ステイサムを思い浮かべますが、とにかく今作でもジョーズがしょっちゅう登場するため楽しいです。

 

しかし、物語は荒唐無稽かつ雑です。
ボンドはどこにいっても脈絡なく敵に捕捉されてますし、終盤の宇宙戦争を彩る英国部隊はノープランで突っ込んできますし、何か良く分からない日本人は剣道スタイルの竹刀で襲ってきます、せめて木刀使って……とツッコミたくなるのですが、

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まあ、何せボンドが宇宙行っちゃいますし、宇宙でいつも通り女の人と無重力で情事にふけってしまいますし、もうツッコむのも野暮なレベルになっています。

 

007の敵の秘密基地には毎回池みたいなのあるし、そこにはたいがい何かヤバい生き物飼ってるし、大体その池に落とす装置あるよなー、なんて何かオヤツを食べながら観るのに適した映画だと思います。


僕が見たかった大規模な計画の007ではあったのですが、十数年ぶりに鑑賞してみるととんでもない作品でした。