実写版ヒットマンってヒットマンっぽい何かだよね
2000年に第1作となる『Hitman: Codename 47』が発売され大人気となったゲームシリーズ「ヒットマン」。
2018年には最新作も発売され、今も人気の絶えないシリーズであると言えます。
このシリーズはスキンヘッドの暗殺者「47」を操作し、ターゲットを自由な方法で暗殺するステルス性をメインとしたゲームですが
最新作になればなるほど幅広い暗殺方法が提供されており、プレイヤーが最も目的に合った方法を自ら選択し準備計画を行っていく自由度の高さがシリーズの売りです。
例えば、パーティの主催者がターゲットの場合、プレイヤーはターゲットを銃で狙撃することも可能だし、ターゲットの飲み物に毒を入れて殺害することも可能、もっと言えば正面から銃撃戦を繰り広げることだって可能です。
ですが、「殺人」と分かる方法で殺害することは「暗殺者」としては二流であり、クリア時の評価はあまり高くありません。
シリーズの副題ともなった「サイレントアサシン」の評価を得るためには、「事故」と見せかけて相手を暗殺する必要があります。
そのために様々な技術者に変装して様々な工作を行う「準備」こそがこのゲームの神髄であり、自身の痕跡を一切残さないことが暗殺者として美徳であるのです。
前置きが長くなりましたが、実はこのゲーム日本ではそこまでの知名度はありませんが海外では大ヒットしており2度も実写映画化されています。
でもなんかさあ、違うんですよね……僕の思っていた「ヒットマン」と。
もちろん2作ともずいぶん前に鑑賞済みであり両作とも円盤を所持しています(レンタル落ちですけど)。
そんなわけで最近再鑑賞して不満に思った点をつらつらと挙げていきたいと思います。
ヒットマン(2007)
あらすじ
ロシア大統領の暗殺依頼を完ぺきにこなしたはずの47。
しかし、大統領が生きていただけでなく自身の所属する組織の暗殺者に命を狙われ始め……。
作品の詳細と感想
もともとは「ワイルド・スピード」シリーズのヴィン・ディーゼルが主演を務めるはずだったの本作ですが、紆余曲折ありティモシー・オリファントに変更された1回目の実写化。
いやー、この作品はとにかく俳優がすごく豪華です。
主演のティモシー・オリファントは本作と同時期に僕が結構好きな『ダイ・ハード4.0』で小物感満載なれどやってることは大分えげつない悪役を好演してますし、最近では『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』で西部劇の主演として落ち目のブラッド・ピットに何とか話を合わせる良いやつを演じていて印象にも新しいです。
ヒロインのオルガ・キュリレンコは『007/慰めの報酬』でボンドガールを演じて以降、需要がうなぎのぼりでもはや色んな作品で彼女を見かけるほどですが、本作ではヌードだらけでサービス精神満載。
それだけでなく、彼女特有の強く気取っているけれどかなり心が脆い演技も上手であり、不思議な魅力に包まれています。
さらに47を執拗に追う刑事には『ミッション:インポッシブル2』で悪役を演じたダグレイ・スコット。
どんな手段を用いても犯罪者を必ず追い詰めようとする強い意志を感じさせる巧みな演技でした。
と、まあ俳優面では言うことなしの絶賛ではあるのですが、内容はもうこれ「ヒットマン」じゃなくても良いんじゃないでしょうか。
もちろんアクションとかは当時の水準で言えばかなり高く、47が原作同様のゴルゴ13ばりの「ガバガバ来ただけ変装」を披露してくれたりする点はとても嬉しいんですが、如何せんやってることが派手すぎるんです。
最初の依頼は「みせしめ」としての任務だったので良いんですが、以降はドンパチだらけでしまいには刀での切り合い、とやりたい放題。
単純なアクション映画としてはもちろん高評価なのですが、自身の存在を跡形もなく消すと言った「サイレントアサシン」要素は皆無。
物語始まってすぐに「機関」に裏切られるので原作のキーキャラとも言えるオペレーターの「ダイアナ」もほとんど登場せず、何故か47は女性が苦手な童貞ボーイみたいなキャラ設定に。
「強い」・「ハゲ」くらいしか原作要素を感じず、それならもうステイサムの『メカニック』でええやん、って思いました。
でも、ホテルのベランダに脱出用の紐付けてたり、入り口に変なカプセル巻いてたり、おっさんをきたねえ風呂場に縛り付けてたりとかは案外好きです。
ヒットマン:エージェント47(2015)
あらすじ
最強の暗殺者を作り出す計画を成功させた博士が良心の呵責に苛まれ姿を消した。
暗殺者の計画を引き継ぎたい各捜査機関は博士の娘を探すため動き出す……。
作品の詳細と感想
もともとは「ワイルド・スピード」シリーズのポール・ウォーカーが主演を務めるはずだった本作ですが、紆余曲折ありドラマ「ホームランド」シリーズで高い評価を受けることになるルパート・フレンドに変更された……って「ワイルド・スピード」色が全体的に強いな。
共演にはリブート版「スター・トレック」シリーズでスポックを演じるザカリー・クイントがいたりとこちらも俳優陣はかなりのもの。
「ボーン」や「ジョン・ウィック」あたりのスピーディな戦闘描写も取り入れられた本作はアクションシーンがとにかく格好良く、47の異常な戦闘能力に痺れること間違いなし。
ってあれ?おいおい、まさかこの47もステイサム系か?と思ったらやっぱりそうでした。
しかも、童貞ボーイと言うか何かちょっと可愛い感じがしたティモシー・オリファント版と比べて原作に近くやや武骨な感じがあるので更にステイサム感が強かったりします。
またしても「機関」はあまり重要視されず、一瞬だけ映る「ダイアナ」が割と美人だけどそれ以降出番無しだし、相変わらず暗殺要素は皆無。
明らかに殺し屋と分かる風格で街を練り歩き、街中で両手拳銃で暴れまわる47さんはもはやゲームの進め方が分からず、突っ込んでいくことを選択したTPSプレイヤーのよう。
でも、アクションは本当に格好良いです。クリア後の評価は絶対低いけど。
両作の結論
アクション映画としては1流、「サイレントアサシン」としては3流。