a picture is worth a thousand words

その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

2020年個人的最トンチキ映画『空に住む』

今年もあと僅かになりました。

 

2020年に書く唯一の記事がネガティブ記事かよ!と思う人も多いでしょうが正直この映画は語りたくて仕方がない作品です。

 

今回の題材は10月23日に公開された映画『空に住む』。

 

 

この作品は作詞家の小竹正人が手がけた小説と三代目 J SOUL BROTHERSの楽曲を基に製作された映画です。

 

物語は両親を事故で失った編集者の直美が、懇意で叔父と叔母の所有する一等地のタワーマンションに住み始めるところから始まります。

 

両親が死んだことにも泣くことの出来なかった直美やその周囲の人物が、直美の引っ越しによってどう変わっていくのかがポイントになるのかと思っていましたが…何も変わりませんでした。

 

いや、変わらなきゃいけないわけではないのはわかるのですが、むしろ主人公はある出来事でサバサバ度に磨きがかかってしまいます。

 

良いんです、主人公はタワーマンションに住んだことでさまざまな出会いと別れの体験したので、よく分からない成長を遂げることもあると思います。

 

しかし、この作品を象徴するのは主人公ではなく周囲の気が狂いまくった登場人物です。

 

まず主人公を暖かくタワーマンションに迎え入れてくれた叔母。

 

美村里江の演じるこのキャラクターは、叔父のビジネスが成功し夫婦生活も良好ではありますが子供が居なく仕事もしておらず料理等もしないため時間を持て余しています。

 

そのため、越していた直美に対し自身の娘のように過剰に接し始め、無断で直美の部屋に侵入してシャンパンを飲みその様子をインスタにアップします。

 

三代目の岩ちゃんが演じる売れっ子俳優の時戸なかなかのクソっぷりですが、作中を通して彼の「価値観」がメインとなることもあり、そこまでの不快感はありませんでした。

 

しかし、叔母は違います。

 

時戸と直美が良い感じになっていようが、直美が知り合いの結婚式で不在だろうがお構いなく部屋に入る叔母の狂気には作中のドキドキシーンのほぼ全てが詰まっています。

 

他にも、主人公の職場の友人として登場する岸井ゆきのが演じる編集者の愛子。

 

軽い性格で職場のムードメーカー的存在でもある彼女ですが、結婚が決まっているのに既婚者の担当小説家の愛人として子供を身籠っています。

 

そのことを婚約者は薄々気づいてるのですが、最後まで隠し通せばオッケーと言うファッキン理論で隠し通すことにしているようです。

 

ここまででも相当にヤバい奴なのですが、彼女は直美が一等地のタワーマンションに住んでいることを知り実際に部屋を訪ねると、「良いところ」で生まれなければ幸せになれないと言う心に取り憑かれてしまいます。

 

そのため、陣痛が始まりかけた際に病院ではなく何故か直美のタワーマンションに向かい、タワーマンションの入り口付近で苦しみもがき、救急車を呼ぼうとする直美に「ここで産まなきゃ子供は幸せになれない!」と意味不明で住民にも迷惑なことを叫び続けます。

 

直美ちゃんがサバサバ度に磨きをかけたのは周りを見渡すとヤバい奴ばかりだからかもしれません。

 

柄本明演じるタワーマンションの管理人が良い雰囲気を出しており、てっきり「この人が主人公に色々アドバイスしてくれるのかな?」と思っていたら、「私、ここもうやめるんで」と言いサラッと退場します。

 

しかも、「みんな楽しそうですよね」と思っていたよりずっと観察眼の無さを披露してくれるので、むしろ悲しい気持ちになります。

 

本作のヤバさを軽く説明しましたが、本当にヤバいのはヤバいキャラクターたちが改心することは特に無い部分だと思っています。

 

もちろん個性は個性のまま、変わる必要なんてないしその部分を伸ばすことは大事だとは思っているんですが、不法侵入とか不倫は別だろ。

 

むしろそこは誠意を見せてくれよ!って思いますが特に変わることはないので僕の気持ちが晴れることはありませんでした。

 

本作を2020年のトップ10に入れている方も何人かいらっしゃるため、単純に僕に刺さらないだけだったのは分かるのですが、個人的につまらない作品と言うよりメッセージ性の意味がわからない作品として『空に住む』を挙げさせていただきました。

 

因みに俳優たちの演技は非常に良く、そのためにこの作品の意味不明な部分が際立っていたとすら思えます…。

 

空に住む (講談社文庫)

空に住む (講談社文庫)