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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】羊たちの沈黙【80点】

アカデミー賞主要5部門を受賞した猟奇殺人捜査映画の金字塔

・短評

アンソニー・ホプキンスの強烈な存在感と以後の映画に影響を与えた名作

 

・あらすじ

女性の皮膚が剥がされるという連続猟奇事件が発生。
クアンティコにあるFBIの訓練校で優秀な成績を収めるクラリススターリング(ジョディ・フォスター)はこの事件の解決の糸口を探るため、
優秀な精神科医であり収監されている凶悪な連続殺人鬼ハンニバル・レクターアンソニー・ホプキンス)に助言を求めるが……。

 

・感想

知り合いと『ドクター・ストレンジ』の話しをしているなかで、敵役を勤めるマッツ・ミケルセンが海外ドラマでハンニバルを演じているよ、と話題になり、

そう言えば、大衆娯楽や猟奇殺人ものがアカデミー賞を取りにくいなかで、アカデミー賞の主演賞や作品賞を含む5部門を制した『羊たちの沈黙』を1回しか観たことがないと気づき、再鑑賞しました。

 

この作品の続編である『ハンニバル』はグロ描写が生々しすぎて僕はあまり好きではないのですが、
今作はグロ描写が何となく少なかったような気がしないでもないし面白かった気がする、と言う恐ろしく曖昧な記憶しか無かったのですが、その記憶は当たっていました。

 

この映画には大きく分けて3つの見どころがあると僕は考えています。

 

その一つ目はやはり、この映画を語る上で外すことの出来ない「ハンニバル・レクター」と言うキャラクタでしょう。
猟奇性を前面に押し出したキャラクタが数多くいる中で、ハンニバルが観客の心を掴んだのは理知的かつ紳士的な態度。
今作のメインの犯人であるバッファロー・ビルのように見るからに分かる狂人ではなく、罵倒する言葉を使わず、憤慨するような感情の高ぶりも見せない、清廉な殺人鬼という印象が僅か10数分の登場で頭にこびりつきます。

 

二つ目に注目したいのは「捜査ものとしての面白さ」です。
確かにこの映画の魅力はハンニバルと言う登場人物の強烈さだとは思いますが、同時に猟奇事件の捜査ものとしても高い完成度かつ、その後の作品に多大な影響を与えているとさえ言えます。
レクターによるプロファイリングで徐々に明らかになる事件の背景、そして終盤で明らかになるレクターの見つけた意外な事件の真相、
プロファイリングと言う概念を日本に流行させたと言うことでも有名ですが、殺人鬼を事件捜査に使う、など『サイコメトラーEIJI』などの作品は明らかに影響を受けていそうです。

 

そして三つ目の見どころは「クラリスハンニバルの関係性」です。
最初はクラリスによる協力要請を拒否していたハンニバルがとある一件により、クラリスに自分の事を語らせる代わりに事件への協力を始めます。
最初こそ、興味本位だっただろうハンニバルクラリスのあるトラウマを知り、カウンセリングのようになっていく2人の関係性は様々な捉え方をすることが出来、一番大好きな要素だったりします。

 

今再鑑賞してみると、どうしても既視感がたっぷりになってしまう作品ではありますがこのように注目したい要素はまだまだあり、この映画の奥深さを感じます。
近年の映画好きだからこそおススメしたい金字塔のような映画です。