【映画レビュー】コーヒー&シガレッツ【80点】
この映画以上の雰囲気映画を観たことがない(褒め言葉)
・短評
豪華な俳優たちが割と気まずい状況でコーヒーを楽しんでいる雰囲気映画。好きな人は好き。
・感想
この作品のことは以前からも知っていましたが、プロットを聞いただけで「意識高っ!」とびっくりしてしまいました。
それもそのはず、この作品は11の短編からなるオムニバス形式の白黒映画で「コーヒー(もしくは紅茶)」と「タバコ」が出てくる以外に一切の物語の繋がりがありません。
1篇目の『変な出会い』が始まり、あまり綺麗とは言えない雰囲気の喫茶店で髪がボサボサかつ少し薄い関係性の良く分からないおっさん2人がきまずい感じの会話を繰り広げ、内心「あっ、このノリで2時間弱はキツイわ」と少し後悔しました。
そして、2篇目の『双子』が始まり状況はさらに悪化。
今度は内装はおろか飲み方まで少し行儀が悪すぎる男女の双子が出てきて最後まで観る勇気がなくなりかけていたところに天使が現れます。
スティーブ・ブシェミです。
その後は延々と迷惑そうにする双子にスティーブ・ブシェミがウザ絡みするというありそうな展開で終わります。
このあたりからだんだんと映画の雰囲気に引き込まれてるのが自分でもわかりました。
その後も小綺麗な喫茶店であったり、高級ホテルのカフェスペースであったり場所は様々ですが何故かやけに気まずい雰囲気のものが多くいろんな意味でハラハラします。
実はこの映画、イギー・ポップやGZA、RZAなどをはじめとした音楽界の著名人やケイト・ブランシェットやビル・マーレイといった俳優界の著名人が自分の役で出演しています。
1篇目の(薄毛の)おじさんもライフ・イズ・ビューティフルのロベルト・ベニーニでした。
と、思わず一瞬気が付かないほどの自然な演技で会話を楽しませてくれます。
『コーヒー&シガレッツ』というタイトルではありますが、あくまでもメインは「人の会話」。
しっかりとオチが用意されている短編や、GZAとRZAとビル・マーレイが登場する『幻覚』のように会話そのものが楽しい短編までたくさんあり、
もちろん人によっては合わない作品であるのは間違いない「雰囲気」映画ではあるのですが、僕は大満足の作品でした。