【映画レビュー】ラストスタンド【78点】
辺鄙な田舎町、そこが最後の砦となった
・短評
シンプルなストーリーと緻密な作戦、アクションはやや物足りないが間違いなくシュワちゃん映画
・あらすじ
メキシコとの国境付近にある田舎町ソマートンで保安官を勤めるレイ(アーノルド・シュワルツェネッガー)のもとに殺人事件の知らせが入る。
一方、FBIでは移送中に逃走した麻薬王ガブリエル(エドゥアルド・ノリエガ)をメキシコへと渡らせないために必死の追走を行っていた……。
・感想
アーノルド・シュワルツェネッガーが州知事を引退以降、本格的に俳優業に復帰した作品。
2013年に公開され映画館に足を運んだ映画ですが、今回で4度目の鑑賞になりましたがやはり好きなタイプの作品でした。
初回鑑賞時は「肝心のシュワルツェネッガーのアクションが少ない」と不満にも感じたのですが、再度鑑賞するとこの映画のテンポの良さに驚きます。
登場人物の軽い紹介、麻薬王ガブリエルの逃走、田舎町での殺人事件、FBIの麻薬王の追跡、と話は停滞することなく進み辺鄙な田舎町での殺人事件とFBIの逃走劇が1つに重なる秀逸な展開を見せます。
自身に絶対の自信を持っているガブリエルのそれを裏付ける凄みと凶悪さ、田舎町を守る保安官レイの正義感と抜け目のなさも丁寧に描かれ、終盤で2人が相まみえるシーンは初対面にも関わらずとても熱くなります。
脇役にも魅力的な登場人物が多く、事件の起きない田舎町に辟易する若手保安官、テンガロンハットを被るおじさん保安官、文武両道を兼ね備えた才人だったが酒と暴力に溺れた若者、町と秩序を守るため命をかける女性保安官、銃器を集めることが趣味のお笑い担当など多種多様な人物が銃を取り戦う後半は、もはや現代版『マグニフィセント・セブン』とも言えます。
そして、もちろん我らがシュワルツェネッガーも大活躍。
復帰作だからかアクションの量はやや控えめではあるのですが、麻薬王に立ちふさがる最後の砦としての重圧感は尋常ではなく、緻密な計画をたてた麻薬王が敵役にも関わらず可哀想にすら感じます。
シュワルツェネッガー映画にありがちな、物語はどうでも良いからとにかく派手な映画にしよう!と言うはっちゃけぶりは少なく、むしろ以前に紹介した『大脱出』と同様に物語展開にもかなり尽力したことがうかがえる映画ですので、
雑なシナリオが嫌いな物語重視で映画を選んでいる人にもオススメできる、入門シュワちゃん映画です。