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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】龍が如く 劇場版【60点】

岸谷五朗100点中1000万点 

龍が如く 劇場版 通常版 [DVD]

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・短評

不満が多すぎる実写化作品だが、岸谷五朗だけは満点でも足りない

 

・あらすじ

10年の実刑を終えた元伝説の極道、桐生一馬北村一輝)が出所した。
恩人への挨拶のため桐生は神室町を訪れるがそこで出会ったのは母を探す少女、遥(夏緒)だった。
一方、その頃、関東ヤクザの東城会では一夜にして消えた100億の行方と出所した桐生一馬を探す真島吾朗(岸谷五朗)が騒動を起こし……。

 

・感想

2003年に発売された、極道の世界を題材にしたゲーム『龍が如く』。
仁義を重んじる古臭い極道ならではの格好良さと、当時の最高峰の技術を使って再現された新宿の街並みが大人気となり、その後シリーズ化もされました。

龍が如く 1&2 HD EDITION

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僕自身、このシリーズのファンだった時期もあり、5作目まではトロフィーのコンプリートまでやりこむほどでしたが、
僕が高校時代に三池崇史監督により実写化された今作には嫌な予感しかせず、映画館に観に行くことはありませんでした。

 

そして、恐らく大学生ほどの時分にこの映画を観て何とも言えない気持ちになったのを思い出し、NETFLIXで再鑑賞してみることにしました。

 

『クローズZERO』や『逆転裁判』などゲームや漫画の実写化を数多く手掛ける三池監督ですが、今作に関してはいつもの実写版では許された三池監督の「悪ノリ」が逆効果になっています。
原作自体もかなりギャグの多い作品にはなっていますが、それでもシリアスなメインストーリーにはほとんどギャグを持ち込まない硬派な内容なはずなのですが、今作では無駄に原作を再現しようと物語の一番いい部分で唐突に原作の回復アイテムを使用し、銃で腹を撃たれていても元気に暴れるので緊迫した雰囲気も、ボロボロになりながらも戦う桐生の格好良さも台無しでした。
回復アイテムでの回復のノリが許される実写化なんて、「勇者ヨシヒコ」くらいだと分かってほしいです……。

 

尺の都合上仕方がないとはいえ、物語のほとんど全てが誰かの説明台詞だけで完結するくらいダイジェスト感溢れる展開で、桐生の親友である錦山や由美、恩人であり父のような存在である風間、神室町を支配しようとする神宮などは実際の登場時間がそれぞれ5分以下と言う初見では絶対理解できないどころか、何回観てもゲーム未プレイだと理解不能は不親切設計。
その割に、お金が欲しいから強盗を繰り返すカップル(塩谷瞬サエコ)、現金の無い銀行に押し入った銀行強盗2人組とその対応をする刑事(遠藤憲一ムロツヨシ哀川翔)、韓国から派遣された殺し屋(コン・ユ)などオリジナルキャラによる必要のあるか分からない物語にかなりの時間を裂くので、原作のファンの苛立ちは尋常ではなくなってきます。
(見返してみると意外に韓国から来た殺し屋は物語の尺を削る上で重要な要素でもあるし悪くないと思いました。その代わり、原作では一番の格好良いシーンである桐生一馬の名乗りがなくなったので戦犯要素も大きい)

 

しかし、この映画には大きすぎるアドバンテージがあります。
それは岸谷五朗が演じた真島吾朗です。

 

原作屈指の人気キャラクター(実際に人気投票では毎回不動の1位)である真島吾朗の完全再現とも言えるレベルの真島吾朗で、奇々怪々な言動と狂気を岸谷五朗が演じ切り、真島吾朗のプロモーションビデオと言うだけで映画館に観に行くべきだったかもしれないと後悔するレベルに真島吾朗でした。


もう内容とかどうでも良いから岸谷五朗を使って続編を作ってほしいレベルです。本当に満点としか言えないクオリティ。

 

その他にも、北村一輝桐生一馬も良いし、ミレニアムタワー爆発後の街のビジュアルなど、光る部分も多く見せてくれた実写化でした、物語は酷いけど。