a picture is worth a thousand words

その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】新感染 ファイナル・エクスプレス【88点】

ただひたすらに釜山へ進む……生き残るため、大事な人を守るため

f:id:shotguuun:20171107190449j:image

・短評

ゾンビ映画の定番を丁寧に描くことによって無駄のない良作に

 

・あらすじ

離婚調停中の妻との間に出来た娘スアン(キム・スアン)の希望で釜山にいる妻のもとに娘を送ることになったソグ(コン・ユ)。
しかし、各地で市民が突如暴れ出す暴動事件が多発しており、ついにその波はソグたちの乗る釜山行きの電車を襲うことになる……。

 

・感想

今年の9月に日本で公開され、そのクオリティの高さに映画好きの間で話題となったゾンビ映画
観たくて観たくて悶々としていたのですが、ついに11月4日に地元の映画館で公開されました。

 

以前に『ゾンビ』の記事で書いたことがありますが、僕はゾンビ映画にそれほど精通しているわけではありません。

【映画レビュー】ゾンビ【60点】 - a picture is worth a thousand words
そんな僕の個人的な三大ゾンビ映画は独特なビジュアルと強いメッセージ性を持った『28日後…』、ゾンビ映画の原点とも言える作品の良質現代リメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』、荒廃した世界での友情をコメディタッチで描く『ゾンビランド』の3つだったのですが、この度『ドーン・オブ・ザ・デッド』と今作を入れ替えることになりました。

 

今作を端的に表すならば「ゾンビ映画の定番詰め合わせバリューパック」がかなり近いと思います。


主人公に対する嫌味を投げかける男が後に頼もしい味方になったり、
カップルが一緒に死んだり、
高圧的な態度を取り被害者を増やすきっかけとなる糞野郎ほど長く生き延びたり、
生き残る人物の選定であったりととにかくゾンビ映画の定番のような展開が次々と訪れます。

 

しかし、その定番要素を無駄なシーンを挟まずに、なおかつ丁寧に描写するため主人公のソグとその娘スアンが電車に乗ってからは一切退屈に思う時間がないくらいのジェットコースター感を味わえます。

 

物語としても多少の強引さは感じるもののキャラの死亡をためらわない思い切った采配と、
ゾンビ映画の定番とも言える「外界の情報がほとんどない状況下」での逃避行と言う移動している電車の中なのに閉塞感を覚える作りが新鮮で、行き着く先の不安さを一緒に味わえる作品となっていました。

 

主人公のソグ自身の成長物語としても良く、仕事人間で自分以外の事をあまり気にしない利己的なソグの考えが、危機下において徐々に全員を助けようと変化していく様も感動的です。

 

あまりにも今作が良かったので前日譚であるアニメーション映画『ソウル・ステーション/パンデミック』も観たいのですが、果たして地元ではやるのでしょうか……。