a picture is worth a thousand words

その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】大脱出【75点】

途中までは頭脳戦、最後は筋肉

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・短評

俳優たちから想像される雑さに反して緻密な内容だが、最後はやはり戦闘に落ち着く

 

・感想

セキュリティの指南のため、各地の刑務所からの脱獄を生業とするブレスリン(シルベスタ・スタローン)はCIAがテロリストを永久に抹消するために作った民間刑務所からの脱獄を依頼される。
しかし、当初の依頼内容と違い、それはブレスリンを永久に刑務所に入れるための罠で……。

 

・感想

続編の製作が進んでいると聞き思い立っての再鑑賞。

初回の鑑賞での感想が正しかったのかの再確認と言う意味もある再鑑賞でした。

 

この作品は『ロッキー』や『ランボー』などでアクションスターの地位を気づきあげたシルベスタ・スタローンとご存知『ターミネーター』のアーノルド・シュワルツェネッガーが老年になってからコンビを組んだ事で話題となった作品でした。

 

誰もがこの映画のキャスティングを聞いた時に「大脱出(物理)」であると思ったはずです。
僕もそう思いました。

 

しかし、映画を見始めてみるとそんな不安(期待)も吹き飛ぶような緻密な脱走が始まります。

 

今作での最初の脱走はとても理知的で筋肉量も対して必要のないスタイリッシュな脱走だったため「これは俺の知っているスタローン映画じゃないぞ……」と心が緊張を始めます。

 

そして、始まる今作のメインとなる刑務所、通称「墓場」の脱走計画。
主人公の指南書をベースに建造されたこの刑務所は堅牢かつ完全監視の要塞で脱走不可能とされるのですが、主人公はその類稀なる観察眼で刑務所の弱点を捉えていきます。
特に監視人の行動を把握するシーンは名シーンだと思っていて、追い詰められたかのように見えていた主人公の余裕と闘志を感じられる素晴らしいシーンでした。

 

脱走が始動する終盤まで、多少の喧嘩シーン以外はとても理知的で「嘘だろ……心理戦としても脱走モノとしても完璧じゃん……」と思っていたのですが、最後の最後でやはりやってくれました。

そう、この脱走計画の最後はやはりスタローンの肉弾戦+シュワちゃんミニガンによる銃弾の雨あられなのです。

 

やったぜ!これぞ『エクスペンダブルズ』だ!

え?あ、これ脱走モノだったっけ……?

倒した後に決め台詞言うとか完全にシュワちゃん映画のノリですけど……。

 

と、まあ、最後の雑さに目を瞑れば終盤までの展開はかなり面白いです。

しかし、この映画は日本のポスターが開始1時間くらいに分かる「墓場の真相」をサクッとネタバレする酷いものなのでお気をつけ下さい。

【映画レビュー】キアヌ【65点】

猫が可愛い(直球)

・短評

コメディ映画として見飽きた設定で特別盛り上がりもしないがキアヌが可愛い。


・あらすじ

彼女と別れ意気消沈するレル(ジョーダン・ピール)のもとに迷い猫が現れる。キアヌと名付けたその猫を溺愛するレルだったが、従兄弟のクラレンス(キーガン=マイケル・キー)と映画を観に行っていた間に何者かに攫われてしまう。
攫った相手がマフィアのボスだと分かったレルはキアヌを奪い返すためにクラレンスと共に無敵の殺し屋を名乗りマフィアに潜入する……。


・感想

海外のお笑いコンビがダブル主演を果たしたコメディ映画。
妄想内でのキアヌの声をキアヌ・リーヴスが演じた事で話題となり、NETFLIXでこの度配信されたので鑑賞してみました。

正直に言うとそんなに面白くありませんでした。

確かにちょっと笑った部分はあります。
主人公2人が騙る殺し屋兄弟の反重力的な動きを実際にやってみせろと言われ、試してみたらやれちゃったり、
演技のつもりで潜入したにも関わらず演技に力が入っていくクラレンスの恫喝シーンだったりと面白かった部分はあるのですが、
いかんせんオモシロ黒人がダーティな世界に潜入するネタは様々な映画で見ていて新鮮味も特に感じなかったのです。

何せ最後まで通して観て、一番面白く感じたのが「キアヌの声がキアヌ・リーヴスと言うキャスティング」と言う鑑賞前の情報でしたし、戦闘シーンあたりも一昔前の演出ばかりで目新しさがありませんでした。

しかし、それにしては点数がそこそこあるじゃん、と思うかもしれません。

 

そうなんです!この映画はとにかくキアヌが可愛いので、それだけで癒される映画なのです。(猫好きの発想)

 

実はこの部分は映画の物語そのものにも強く影響しており、

主人公はもとより、マフィアのボス、命乞いを聞かない最強の殺し屋2人、と誰もがそのキアヌの可愛さに引き込まれ命懸けの抗争を繰り広げる猫好きの頭のおかしさ(褒め言葉)が伝わってくる展開でした。

 

序盤でレルが撮影し、スタッフロールで流されるキアヌの映画コスプレカレンダーも可愛く、本当に発売してくれないかと強く願っています……。

【日本ドラマ】Nのために

それぞれがNのために行動した事件の結末 

【Amazon.co.jp限定】Nのために DVD-BOX(コースターセット付)

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・短評

積み上げた丁寧な心理描写が事件につながる良作ドラマ

 

・あらすじ

14年前、ある島の料亭が放火され駐在の警察官高野茂(三浦友和)の妻が火災現場に立ち入り言葉を失った。

定年を迎えた高野は放火事件の真相を知るため容疑者である料亭の息子、成瀬慎司(窪田正孝)とそのアリバイを証明した杉下希美(榮倉奈々)を調べるが彼等は10年前に東京で発生した殺人事件にも絡んでいて……。

 

・感想

『告白』で有名な湊かなえによる同名小説の連続ドラマ化作品。

原作小説を読んでいないのですが、オススメされたのでこの度Huluで全話を鑑賞しました。

 

湊かなえ原作ドラマと言うと藤原竜也好きの僕は今年放映されたドラマ『リバース』を思い出します。

同じく過去の事件を追うドラマで事件のオチ自体は最終話前まで引っ張る理由の分かる面白いものだったのですが、

最終話そのものは事件の後始末や、とってつけただけの蛇足のようにしか思えず最終話ひとつ前の話で見るのをやめておけば良かったとすら思いなんとも言えない気持ちになりました。

(聞いた話によると最終話は完全にオリジナルらしいので本当に蛇足…)

リバース Blu-ray BOX

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そんなわけで、1つの事件を1クール使って追うドラマには少し抵抗があったのですが、今作は最終話こそが名話で少し泣いてしまうほどでした。

 

物語展開としては駐在の高野が10年前の殺人事件の関係者を追う現在と、それぞれの悩みを抱えながら生きる内に事件へと繋がっていってしまう14年前を交互に描いているのですが、過去編がとにかく秀逸です。

 

正直、序盤はモンスターな両親に追い詰められる杉下が見ていて辛く、中盤は島を出て下宿で暮らす杉下と下宿先で出会う大学生の安藤との恋愛展開が続き、ラストに事件が待っていると知らなければ途中で見るのをやめてしまっていたかもしれません。

しかし、この何気ない過去の話こそが最終話にとって非常に重要な要素でした。

 

最終話のみを褒め称えると最終話だけを見る人が出てくるかもしれませんが、事件の結末だけを見ると『リバース』よりもかなり地味ですし序盤から想像がついていた内容です。

ですが、各自の不可解とも言える行動はその事件に至るまでの過去を1話から9話で丁寧に描いていたからこそ、

それまでしっかりと見ていた視聴者にはその行動の真意が分かり、事件の裏にあったそれぞれの救済に心が打たれました。

 

後日談も鬱々としたそれまでの展開から解放されるかのような明るい未来を想像したくなるもので鑑賞後の後味もスッキリとしていてその部分もオススメできます。

 

ここまで物語展開のみを褒め称えましたが、窪田正孝を始めとした俳優たちの演技も良く、リアルタイムで見ておけば…と悔やんでしまうほどの高クオリティのドラマでした。

【映画レビュー】ヒートアイランド【65点】

既視感を多く感じるが俳優たちは魅力的 

ヒート アイランド [DVD]

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・短評

深く考えずにざっくり見る分には面白く俳優たちの無理をしない演技も好印象

 

・あらすじ

渋谷の若者たちのカリスマ的存在のアキ(城田優)の仲間が関西ヤクザから大金を奪った強盗団の1人、折田(松尾スズキ)からお金を奪ってしまう。

関西ヤクザ、地元ヤクザ、強盗団から狙われる中、アキは仲間を守るために奮闘する……。

 

・感想

勇者ヨシヒコと導かれし七人』を観た影響かは分からないのですが、何故か無性に城田優を観たくなり、城田優の主演作を鑑賞しました。

 

他の作品を例にこの作品を紹介するならば、今作は『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』や邦画の『サンブンノイチ』などの脚本の妙で勝負する作品と、

長瀬智也主演でドラマ化されたことでも有名な小説シリーズ『池袋ウエストゲートパーク』のようなストリートギャングによる問題解決物語を足したような作品でした。

 

しかし、終盤以外は容易に想像がついてしまう上に、どこかで観たような展開が多く脚本の妙で勝負するにはやや退屈なのですが、

俳優の役どころが俳優の雰囲気とマッチしていて演技を見る映画としてはなかなかでした。

 

城田優ストリートギャングの頼れるリーダー感は言うまでもないですし、伊原剛志の強盗団リーダー感、細川茂樹の感情的な若手強盗員など確かな実力のある俳優の見た目通りの演技が素敵なのですが、中でも異様なオーラを放っていたのが豊原功補

このブログで紹介した映画の中でも『南極料理人』や『HiGH&LOW』シリーズなど30年以上のキャリアを持つ確かな俳優さんですが、今作でもその演技は冴え渡っています。

 

何を考えているか分からない暴力的な地元ヤクザと言うとても豊原功補の雰囲気にマッチした最高の役で登場するだけで面白さが滲み出てました。

 

俳優を見る映画としては物語も及第点以上ですし、そろそろ公開から10年近く経つので実はこっそり続編を待っています……。

【映画レビュー】ベイビー・ドライバー【78点】

映画好きに人気の理由が分かる良作

「ベイビー・ドライバー」オリジナル・サウンドトラック

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・短評

先を読ませない展開で常にハラハラしつつも、音楽の使い方が良くテンションが上がる

 

・あらすじ

幼い頃に両親を交通事故で亡くし、自身も耳に障害を抱えたベイビー(アンセル・エルゴート)は借金を抱え強盗の逃し屋を続ける毎日だった。

音楽を聴くことで耳鳴りが止み、天才的な運転の腕前を発揮するベイビーはノルマを終え裏の世界から解放されるはずだったが…。

 

・感想

8月に公開され、音楽を軸にバイオレンスな世界を描いた作品として映画好きの話題を集めた今作ですが、僕の住む地区ではなかなか公開せず辛い気持ちを味わっていましが、

先日ようやく地元で公開されたので、映画館に足を運び鑑賞して来ました。

 

まずこの映画を観て思ったのは、雰囲気は違いますがライアン・ゴズリング主演の『ドライヴ』に似ているという事でした。

『ドライヴ』Blu-ray【日本語吹替収録版】

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もちろん、両者は明らかに違います。

 

『ドライヴ』は逃し屋と言う職業を望んでやっていますし、主人公の素性は一切明らかになりません。

しかし、裏の世界のドライバーが出会った女性を守るためバイオレンスな領域に足を踏み入れる展開や、先の読めない展開は似ていて文章だけなら類似作品のようにすら思えたはずです。

 

しかし、2つの作品を決定的に分けたのは音楽です。

 

『ドライヴ』では、バイオレンスな映像に相反する静かな音楽を流す北野武監督作品をオマージュした演出により、凄惨な裏の世界に生きる静かな男の性格を表現していました。

一方で、今作では派手な曲を中心に多種多様な曲を流す事で映画を彩り、無口なベイビーと言う人間の豊かな感情を描いていて鑑賞後の感覚もバイオレンスな映画なのにさっぱりとしていました。

 

カーチェイスシーンも目新しさはないものの、スタイリッシュさは充分に感じることができカーチェイスがあまり好きでない自分も退屈な思いは一切しませんでした。

 

オールタイムベスト級の作品!とまで自分には刺さりませんでしたが、今年の映画の中で上位に入るのは間違いのない作品です。

 

でもヒロインのリリー・ジェームズはとにかく可愛かったです。(小声)

【映画レビュー】アウトレイジ 最終章【70点】

これが大友組のケジメ

・短評

前作、前前作とは全く方向性の違う静かな映画

 

・あらすじ

韓国と日本で暗躍するフィクサーの張(金田時男)のもとに身を寄せる大友(ビートたけし)が管理する地区で花菱会の花田(ピエール瀧)が問題を起こす。

一見上手くまとまったように見えたが、花田が大友の部下を殺害したことから花菱会、韓国フィクサー、山王会を巻き込んだ陰謀の応酬が始まる…。

 

・感想

【映画レビュー】アウトレイジ【70点】 - a picture is worth a thousand words

【映画レビュー】アウトレイジ ビヨンド【80点】 - a picture is worth a thousand words

 

個人的にヤクザ映画の中でも、続編映画としても最高の出来だった『アウトレイジ ビヨンド』があっただけにとても楽しみにしていた今作。

近所の映画館である「シネプラザサントムーン」では月曜と木曜にメンバーズデー、金曜にメンズデーがあり1100円で映画を鑑賞出来るのですが、あまりの楽しみさに何の割引もない土曜の初日に観に行きました。

 

結論としては良いように言えば静かな作品で、悪いように言えば地味な作品でした。

 

物語の動きがない訳では決してありません。

むしろ、序盤から終盤に至るまで次々と人が死ぬ、冷静に考えれば怒涛の展開なのですが、

今作では前作、前前作のようにカタルシスを感じさせるような演出でも展開でもなく淡々と人が死んで行きます。

 

中盤までは花菱会の内部抗争が延々と続き、自分としてはメッセージ性も全く見えなかったのですが、終盤からこの映画のメッセージ性が僕にも見え始めてきました。

 

1作目では駒として使われ続けた大友が散々な目に会い、2作目ではその大友による反撃が始まります。

しかし、結局のところその反撃すらも様々な人間の駒になっていただけなのですが、今作では「大友が駒となる道を選択するのか」や「大友がどんな結末を望むのか」がメインとなりますが、

序盤ではあまり響くシーンがなく少し退屈に思っていた自分もこの作品が「最終章」と名を打ってある通り「大友組」のケジメをつける作品であると分かってからは静かなテイストも相まってのめりこんでしまいました。

 

大友の選んだ全てのケジメの道。

興味のある人は是非、前2作を鑑賞してから今作を鑑賞してください。

【映画レビュー】天空の城ラピュタ【95点】

壮大な冒険の始まり

天空の城ラピュタ [Blu-ray]

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・短評

無駄なシーンが一切なく、何回観てもワクワクさせられる冒険アニメの傑作

 

・あらすじ

炭鉱で働くパズー(声:田中真弓)は残業の最中に空から落ちてきた少女シータ(声:よこざわけい子)を見つけ保護する。
彼女の持つペンダント「飛行石」が、父が生前に見たとされる伝説の浮遊都市「ラピュタ」に繋がると知ったパズーは彼女と共に逃避行を続けるが……。

 

・感想

1986年に宮崎駿が製作し、金曜ロードショーでとにかく放映される不朽の名作。


この映画に関しては詳しく語る必要もないくらい皆さんもご存知だと思うので今回は自分の感想だけをスラスラ書いて行こうと思います。

 

9月29日に地上波で『天空の城ラピュタ』が放映されました。
今年は多数の企業の公式Twitterラピュタの放映の実況に加わり、主に日清の公式が面白くTwitterでは毎回のごとく賑わっていましたが、当日は外出していたため観ることは出来ませんでした。

 

しかし、考えてみれば宮崎駿ジブリ映画は大体DVDを所持しているので家で観れば良いじゃんと思い少し遅れて久々にラピュタを鑑賞しました。


昔はただ何となく面白いと感じていて、どちらかと言うと内容より「バルス」のツイートなどに気を取られていたのですが、しっかりと見直してみるとこれ以上完成度の高い冒険アニメを知らないと思うほどに優れた映画でした。

 

序盤のシータとパズーの逃亡劇から既に無駄がなく、その後も無駄だと思うシーンが一切ないのも凄いとは思うのですが、やはり再鑑賞でひきつけられたのは「ラピュタ」と言う浮遊都市の威圧感です。

 

人がいなくなり廃墟となった都市に根付く動植物とそれを守る生き残りのロボット、過去の繁栄を思わせる廃墟の構造と言う思い描く幻想さを全て積み込む綺麗な一面と、殺人兵器を随所に盛り込む恐ろしさを併せ持つ旅の終盤にふさわしい場所に感じました。
特に後者の「ラピュタの恐ろしさ」は子供のころから落ちたら死ぬという場面の連続も合わせ手に汗握り、大人にも子供にも印象を深く残しているのは間違いありません。

 

まったく関係ないですが『スーパーマリオ64』の「バッタンキングのとりで」って同じ怖さをどことなく感じるのですが、これも「ラピュタ」の影響だったりするのでしょうか……。

スーパーマリオ64DS

スーパーマリオ64DS

 

子供ながらに純粋に楽しいや怖いを楽しめて、大人になってから観ても「よくよく考えるとかなり人が死んでる」とか劇中では詳しく語られない、「なぜラピュタは滅びたのか」に想いを馳せてみるとか様々な見方と考察の余地を残すクオリティの高い不朽の名作であることが間違いのない作品でした。