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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

【映画レビュー】バッド・バディ!私とカレの暗殺デート【40点】

ギャグに振るのかシリアスに振るのかはっきりしない

バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート [Blu-ray]

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・短評

設定と俳優だけが秀逸で他は何もかもがいま一つ

 

・あらすじ

彼氏の浮気による喧嘩別れで荒れるマーサ(アナ・ケンドリック)はある日、スーパーで男(サム・ロックウェル)にナンパされる。
運命の出会いのように感じ、彼に惹かれていくマーサだったが、実は彼はその業界では有名な最強の殺し屋だった……。

 

・感想

以前の記事でも例を挙げましたが、静岡の片田舎に住んでいるため地元でやらない少しマイナーな映画は多くあります。

【悲報】今年劇場公開されるのに地元ではやらない映画たち - a picture is worth a thousand words

今年の5月に公開された今作もその例に洩れず静岡東部では公開されず円盤を待ち続けた作品でした。


アナ・ケンドリックとかサム・ロックウェルとかティム・ロスとかそこそこ有名なのになー、と当時は不満でしたが、鑑賞してみて公開されなかった理由が何となく分かるような作品に感じてしまいました。

 

まず最初に褒めておくならば、設定と俳優は非常に優秀です。

 

サム・ロックウェルの演じるミスター・ライトと呼ばれる最強の殺し屋は「殺し」と言う行為に精神を蝕まれ引退しました。
しかし、殺しの営業は続け「殺し」は良くないことなので依頼してきた人を殺害すると言う思わず「ちょっと何言ってるか分かんないです」と言ってしまいそうな突飛な設定や、
アナ・ケンドリック演じるマーサが実は殺し屋としての才能に満ち溢れていて飛んできたナイフを素手で掴める、など他の作品ではお目にかかれないような設定の数々はとても魅力的でした。

 

以前書いた『コーヒー&シガレッツ』にも出演したヒップホッパーのRZAが今作にも出演しており、
彼の演じる才能に溢れているが敵のボスに冷遇される鉄砲玉スティーブとミスター・ライトとのやり取りもなかなかにクールなものでした。

【映画レビュー】コーヒー&シガレッツ【80点】 - a picture is worth a thousand words

ですが、その辺りの長所を台無しにしてしまっているのが全体に漂うイマイチさ。

 

一番気になってしまったのは、殺陣がイマイチだった部分です。
ダンスをしながら片手間に戦うミスター・ライトの発想はとても格好良いとは思うのですが、近年『ボーン・アイデンティティー』のようなキレのある格闘戦が流行り始めているにもかかわらず、今作の殺陣は昔の007のように鈍重な印象がありミスター・ライトの最強さが今一つ感じにくく、
また、マーサの異質な才能も、殺陣のイマイチさとそもそもの活躍シーンの少なさに面白い設定の生殺し感を味わいました。

 

「彼女と出会って殺しはやめた」と言うミスター・ライトが直前に3・4人殺していたり(ここは狙ってやってる気もしますが)、とにかく物語展開も頭の中に「???」が大量に並ぶもので、
頭をすっからかんにして楽しめるコメディ作品なのか、と思いながらティム・ロスが演じるキャラクターはお笑いよりシリアス路線だしはっきりしないチグハグな映画に思えてしまいました。

 

ラストシーンとか、割と好きなシーンもあるだけに、全体的な完成度の足りなさが残念です。