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その時思った気になる事を忘れないためにもこういう場所に書いてみたりしちゃいます。

10月のオススメ作品記事

こんにちは、いとです。

 

せっかく(ほぼ)毎日ブログを更新しているので、月毎のとにかくオススメしたい作品の記事をまとめるまとめ記事を今月から書いて行こうと思います。(ネタ切れじゃないよ)

 

そんなわけで、今回は2017年10月のオススメ作品の記事です。

 

【映画レビュー】アウトレイジ ビヨンド【80点】 - a picture is worth a thousand words

 

【アニメ】RWBY Volume1-3:The Beginning - a picture is worth a thousand words

 

【日本ドラマ】勇者ヨシヒコと導かれし七人 - a picture is worth a thousand words

 

【海外ドラマ】BLACK MIRROR シーズン1 第1話「国歌(National Anthem)」 - a picture is worth a thousand words

 

【映画レビュー】ブレードランナー ファイナルカット【90点】 - a picture is worth a thousand words

【映画レビュー】咲-Saki-【65点】

原作未読でもそれなりに楽しめる能力麻雀映画

・短評

地獄めぐりのつもりで鑑賞してみたら割合楽しむことが出来た

 

・あらすじ

麻雀がメジャーな競技として、学校でもさかんな競技として親しまれている世界。
天才的なセンスを持ち合わせる宮永咲浜辺美波)は麻雀部の仲間と優勝を掴むため猛者が入り乱れるインターハイに挑むことになる……。

 

・感想

麻雀を題材にした同名漫画の実写化映画を鑑賞。

 

そもそも僕は原作である漫画はおろかアニメに至るまで見たことがありません。
それどころか、この映画までの道のりを描いた導入部分の実写化であるドラマ版すら鑑賞していなく「なんでこの映画観ようと思ったんだよ」と言われると何も言えない状況だったりします(別に好きな俳優が出ているわけでもない)。

 

原作も麻雀も知らずに観る方は俳優さんのファン以外ではあまりいないとは思いますが、この映画は「麻雀」のルール自体に対してはほとんど説明がないので知らない人は恐らくついてけません。
僕自身はかなり麻雀が好きで、雀荘などにはあまり行きませんが仲間内で麻雀をしたり、麻雀漫画や映画なども割と観ますし読みます。
そんなわけでこの映画を「怖いもの見たさ」で見始めたのですが、それなりに楽しむことが出来ました。

 

何回かこのブログでも紹介させていただきましたが昨年末ほどから『HiGH&LOW』シリーズハマっています。
その影響からかチームの紹介演出に大分弱く、『咲-Saki-』でもオープニングの演出だけでやや心が動いてしまいました。

 

とは言え、もちろんそれだけでは判断しません。

 

基本的にこの作品は能力バトルものの定番近い物語展開を見せる麻雀作品です。
能力を先に見せ独走しているキャラは必ず中盤で良いようにやられたり、と展開の先読みはしやすく物語展開だけで言うならば特に驚く部分のない普通なものでした。

 

しかし、この作品で驚いたのは『ガールズ&パンツァー 劇場版』にも言える短い時間でのキャラの描き分けが上手いと言った部分です。

 

作品内での団体戦のルールは剣道の団体戦と同じく、チームごとに先鋒、次鋒、中堅、副将、大将を決め定められた局数を打つと言うルールですが、それゆえに映画内だけで5人×4校の20人ものキャラが登場します。
元々が漫画なので当然なのですが、とにかくそのキャラクターたちのどれもが色が濃く、短い時間の中でスポットが当たる主人公チーム以外のチームのキャラクターたちもその独特のキャラ特性をアピールしてくるため、もっとたくさん彼女たちの活躍を観たい気持ちにさせられます。

 

俳優たちの演技も頑張っていて、多少の無理な演技も見受けられますが、全体を通して実写化や若手アイドル集合作に特有の痛々しさはあまり感じませんでした。

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中でも個人的には風越女子高校のリーダー、福路美穂子を演じた加村真美は特に魅力的で、彼女の他の出演作にも興味がわきました。

 

ただドラマ版を観ていなかったから、と言う部分もあるとは思うのですが、
恐らく映画初登場である鶴賀学園であったり、風越女子高校にも映画内で全く活躍はおろか目立ちもしない空気キャラは多く『ガールズ&パンツァー 劇場版』のように全員に活躍の場を用意する難しさを感じてしまいました。

 

当初感じていた「痛々しい映画なんだろうなー」と言う印象を割とぬぐってくれていたこの作品。
原作ファンの目にはどう映ったのか気になりますが、僕自身は続編も少し興味がわくような作品でした。

【映画レビュー】LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標【92点】

俺はただ、美味い煙草が吸いたいだけさ

・短評

ハードボイルドと終盤の怒涛の展開が融合したルパン三世シリーズの最高傑作

 

・あらすじ

犯罪の発生率が極端に低い東ドロアに秘宝「リトルコメット」を求め潜入したルパン三世(声:栗田貫一)と次元大介(声:小林清志)。
無事秘宝を入手した2人だったが、想像を超える警察の動きの速さを前に逃走を余儀なくされる中、次元の命を狙う暗殺者ヤエル奥崎(声:広瀬彰勇)に突如襲撃される……。

 

・感想

近年のコメディタッチを中心としたルパン三世像から、より原作に近いハードボイルドかつエロティックな路線を目指す「LUPIN THE IIIRD」シリーズの第2弾。


シリーズの1作目の連続アニメ『LUPIN the Third -峰不二子という女-』はまだ観たことがないのですが、今作の『次元大介の墓標』はとっても大好きで、今までに5回は再鑑賞をしました。

 

このシリーズは流血や生々しい表現も多く、続編である『LUPIN THE IIIRD 血煙の石川五ェ門』では武器が刃物だけに人体欠損描写もあったりします。
しかし、人が死んでいることをしっかりと描写することによって近年のルパン三世の扱いである義賊のようなイメージのある「正義のヒーロー」像から原作により近い「ダークヒーロー」像としてのルパン三世をよりイメージしやすくなっています。

 

前後編構成でそれぞれが30分なため、上映時間はおよそ1時間ととてもあっさりとした雰囲気ですが、内容の濃密さは尋常じゃありません。

 

飄々とした印象ながら凄まじい知力と洞察力を持ち合わせたルパン三世と、とある女性の命を守り切れなかった事に後悔を残すガンマン次元大介のコンビとしての魅力もさることながら、
今作に登場する敵役ヤエル奥崎との攻防、東ドロアに隠された政治的陰謀、峰不二子の救出など僅か1時間にとんでもない量の伏線を敷き詰めた上で、その全てをきっちりと回収しきります。

 

特に今作でスポットの当たる次元大介の魅力は尋常じゃなく、名言や名台詞のオンパレードとなっています。
中でも「俺に言わせりゃ、ロマンが足りねぇな」の一連のセリフは新規作品に厳しいルパン三世のファンの間でも次元大介を代表するセリフとして支持されるほどでしたし、僕も大好きなセリフです。

 

ルパン三世が好きと言う方にはもちろんですが、ルパン三世をほとんど知らない人にもサスペンス作品として充分にオススメできる今作。
NETFLIXでも配信されているので是非是非ご覧になってみてください。

【映画レビュー】ポッピンQ【50点】

舞台やミュージカルのような展開と王道青春モノなのだが……

ポッピンQ

ポッピンQ

 
・短評

ところどころに良い演出が光るものの、展開が唐突すぎて違和感が多い

 

・あらすじ

部活と望まぬ引っ越しにモヤモヤを抱える中学3年生の小湊伊純(声:瀬戸麻沙美)は卒業式にも参加する気はほとんどなく、両親に反発していた。
しかし、卒業式の日、登校途中に異世界に迷い込んでしまった伊純は同じくこの世界に迷い込んでしまった同年代の少女たちと共に世界を救うために行動することになる……。

 

・感想

2016年に公開された東映アニメーション60周年記念オリジナル長編アニメ。


一部の熱狂的なファンからは恐ろしいほど支持されるが、それ以外の人からはやや低めの評価を受けると言うオリジナルアニメとしてはかなり異様な様相を見せている作品だったので気になって鑑賞することにしました。

 

結論としては、何かこう、色々と惜しいなと思える作品でした。

 

悩みを抱える少女たちが、ある出来事を通して成長していく作品と言えば個人的には『君の声をとどけたい』あたりが記憶に新しいです。
この映画においてもそのジャンルとしての基本展開を押さえ、異世界を救う中で成長していく物語を描いているのですが、それにしても全体的に駆け足感が凄いです。

 

例えば、主人公の伊純は陸上部の大会で思ったような成績を残すことが出来ず、同級生に妬みの感情を向けています。
その思いを見抜かれ、世界を救うアイテムを使えばあの大会をやり直すことが出来るよ、と甘言を受けるのですが、そのことに対してあまり悩むシーンもなく、それどころかその甘言を言ってきた人物が怪しいと分かるや否やあっさりそのこと全員に話します。
そんな風に僕には見えたにも関わらず、主人公は仲間にその出来事を話さなかったことを糾弾され、揉め事のきっかけになってしまいます。
と、本来ならもう少し葛藤のシーンを描写したり、その出来事を秘密にしているようなシーンを描くべき部分が欠けているため、どうしても展開に登場人物が振り回されているようにしか思えず違和感を覚えました。

 

他のキャラに関しても悩みを解消する部分は描写不足で「あっさり立ち直るるなこの子達」と心の中で思わずツッコミを入れてしまうほどでした。

 

しかし、主人公が最終的なコスチュームに変身してからの能力描写であったり、伊純の疾走シーンであったりはそれなりに熱くなり、感情が揺るがされる部分もあったため、尺がもう少し長ければなあ……と惜しく感じてしまう作品でした。

HiGH&LOW THE MOVIE ノーカット版【今更感想】

公開日前に試写会とライブビューイングを行いまくる公式に恐れおののいていますがついに『HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION』の公開日が目前に迫りました。

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そんなわけで今回は6月14日から9月10日までよみうりランドで開催されていた「HiGH&LOW THE LAND」で土日祝限定で上映された『HiGH&LOW THE MOVIE』のノーカット版についての感想をいまさら書かせていただきます。

 

よみうりランドで行われた「HiGH&LOW THE LAND」ですが、一言で言えばとても楽しかったです。
造形物もフードメニューもどれもこれもがかなり手間がかかっていて、「HiGH&LOW THE MUSEUM」の外観に至ってはコンテナ街の抗争が今にも始まりそうなほどでした。
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なお、「HiGH&LOW THE LAND」でのフードメニューや一部のグッズ、「HiGH&LOW THE MUSEUM」で飾られていた衣装の一部は新宿のスタジオアルタで開催中の「HiGH&LOW THE MOVIE 3/FINAL MISSION カフェ」にて販売や展示がされているようですので、気になる方はぜひ足を運んで観てください。

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さて、前置きはこのくらいにして、
「HiGH&LOW THE LAND」では『HiGH&LOW THE MOVIE』のノーカット版を一日二回ほど上映していました。
2時間30分以上にもなるノーカット版は個人的には、公開版よりも良いなと感じましたので、その理由とカットされたシーンの一部について言及していこうと思います。
※『HiGH&LOW THE MOVIE』本編のネタバレありありです
※ただしRED RAINを始め2と3のネタバレは一切ありません

 

 

 

 

 

 

 

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映画が始まるといきなり雨宮兄弟とMUGENの戦闘シーンが始まります。
ドラマ版1-1やシーズン2でもたびたび登場するお馴染みのシーンから始まり、ITOKANでの反省会を跨ぎ、「数年後(何年後かはうろ覚えです)」のテロップと共に上映版と同じく「山王街襲撃」と「無名街の爆破」シーンに繋がっていきます。

 

完全にドラマ版の映像を流用しただけのシーンで、カットされた理由も分かるのですが、僕的には映画の構成的にこのシーンの存在は「映画からこのシリーズに入ろうとしている人」のために残しておいて欲しかったシーンでもありました。
このシーンがあることで、今作自身が琥珀を中心としたチームである「MUGEN」の物語であると言うことが明確になるはずであり、
戦闘後の反省会のシーンではドラマシリーズを未見であったり、しばらく時間を置いてしまった人に対し琥珀と言う人物がどれだけ大きな人間でありカリスマ性があったかが伝わる場面であったと感じました。
映画単体で観てしまうと、いきなり琥珀さんの頭が既にやられている状態から始まるので「おいおい、こいつカリスマ0だろ」感を覚えてしまう人も知り合いには多かったです……。

ですが、完全にドラマ版の流用でしたし、その後ドラマ版を観てもらえれば良いと考えるとカットされたのも当然だったのかもしれません。

 

 

 

次に気になったカットされたシーンは今作での敵役であるチーム「MIGHTY WARRIORS」の根城、FUNK JUNGLEの外での会話シーンです。
海外マフィアである李の性格についてと琥珀はSWORD地区に興味がないから俺らが貰う、と言う旨の会話なのですが、前者の会話はかなり重要だったと鑑賞者が口を揃えて言っていますし僕もそう感じました。

 

「人を裏切らせることを繰り返し、今の地位を獲得した」と言う李の過去は、終盤の琥珀が九十九を殺そうとする時にやけにハイテンションだった理由に繋がりますし、
何よりもその要素がないので、公開版では単にヤバい奴です。実際ヤバいですけど。

 

しかし、個人的にカットされた理由は後者の部分にあるのではないかと考えています。
「MIGHTY WARRIORS」があたかもSWORD地区を欲しがっているように思える会話なのですが、「RUDE BOYS」との戦闘後の曲の中でICEははっきりと「そもそもSWORDに興味はないし」とはっきりと歌っています。


前後で食い違う発言ゆえに削られたのではないかと想像してしまうのでした。

 

 

 

お次は「RUDE BOYS」への一方的な攻撃を劉が九十九に見せるも、九十九が呆れてどこかに行ってしまうシーンからは去っていく九十九を劉が複雑な顔で見つめるシーンがカットされていました。
物凄く短いカットシーンですし些細な部分ではあるのですが、「RUDE BOYS」の発言などを鑑みると去っていく九十九を見て苦笑いやニヤニヤするかと思っただけに驚きました。


「時の流れとは残酷なもの」と言い、ずっと眠っていた九十九に対し何かしらの同情や、共感を覚えていたのではないか、と妄想も出来る良いシーンをカットしてしまったなと思いました。

 

 

 

そして、大まかなカットシーンでは一番残しておいて欲しかったと思うシーンが次の部分です。

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時系列的には九十九がコブラとヤマトに琥珀の計画の一部を話し、龍也からもらったバイクの鍵をコブラに託した後かつコンテナ街の戦闘の前になります。

FUNK JUNGLEでSWORD潰しの大詰めを九十九に告げる琥珀は九十九をいきなり殴りつけ「山王に情報をリークしただろ」と憤る琥珀に、九十九は「昔の仲間を傷つける復讐に何の意味があるんだ」と叫びます。
若干動揺した琥珀は「俺の計画を邪魔する奴には容赦しない、それがたとえお前であってもな」と九十九に言いその場から離れていきます。

 

前々から『HiGH&LOW THE MOVIE』においてのツッコミどころの1つとしてあげられていた「九十九さんどこで怪我したの?」と言う部分に対する完全なアンサーになる部分であり、
また、これ以上の行為を止めようとする九十九に対して琥珀が「もう俺の邪魔をしないでくれ」と言うシーンの意味にもなります。

 

なぜカットされたのかがこのシーンに関しては本当に想像も出来ず、結果としてノーカット版を見る前は「九十九さんは言いがかりで暴力を受けている」としか思えず、琥珀さんがさらにヤバい奴に思えてしまったりもしていました。実際あの段階ではヤバいですけど。

 

 

 

と、気になったかつ覚えている主なカットシーンをあげさせていただきました。


その他にも、苺美瑠狂の登場シーンのようなギャグパートが削られたり、アクションシーンなどたくさんのシーンがカットを受けています。

 

カニと関ちゃんがコンテナ街の戦闘中に顔を合わせて満面の笑みを浮かべるシーンや、コブラが華麗な組技を使いながらザコを蹴散らすシーンなんかは削らないでほしかったりもしましたが、
ICEと雨宮広斗の戦闘や琥珀対九十九、コブラ、ヤマトの戦闘シーンは今の数倍の尺はあり、確かにテンポとしてはあまり良くなかった気もします。

 

映画を2時間と言う尺に収めることの大変さがこのノーカット版を鑑賞することで痛感することが出来ました。
しかし、このノーカット版はファンには見て欲しいものでしたし、ぜひともノーカット版のBlu-ray発売をよろしくお願いします……。

【映画レビュー】新感染 ファイナル・エクスプレス【88点】

ただひたすらに釜山へ進む……生き残るため、大事な人を守るため

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・短評

ゾンビ映画の定番を丁寧に描くことによって無駄のない良作に

 

・あらすじ

離婚調停中の妻との間に出来た娘スアン(キム・スアン)の希望で釜山にいる妻のもとに娘を送ることになったソグ(コン・ユ)。
しかし、各地で市民が突如暴れ出す暴動事件が多発しており、ついにその波はソグたちの乗る釜山行きの電車を襲うことになる……。

 

・感想

今年の9月に日本で公開され、そのクオリティの高さに映画好きの間で話題となったゾンビ映画
観たくて観たくて悶々としていたのですが、ついに11月4日に地元の映画館で公開されました。

 

以前に『ゾンビ』の記事で書いたことがありますが、僕はゾンビ映画にそれほど精通しているわけではありません。

【映画レビュー】ゾンビ【60点】 - a picture is worth a thousand words
そんな僕の個人的な三大ゾンビ映画は独特なビジュアルと強いメッセージ性を持った『28日後…』、ゾンビ映画の原点とも言える作品の良質現代リメイクである『ドーン・オブ・ザ・デッド』、荒廃した世界での友情をコメディタッチで描く『ゾンビランド』の3つだったのですが、この度『ドーン・オブ・ザ・デッド』と今作を入れ替えることになりました。

 

今作を端的に表すならば「ゾンビ映画の定番詰め合わせバリューパック」がかなり近いと思います。


主人公に対する嫌味を投げかける男が後に頼もしい味方になったり、
カップルが一緒に死んだり、
高圧的な態度を取り被害者を増やすきっかけとなる糞野郎ほど長く生き延びたり、
生き残る人物の選定であったりととにかくゾンビ映画の定番のような展開が次々と訪れます。

 

しかし、その定番要素を無駄なシーンを挟まずに、なおかつ丁寧に描写するため主人公のソグとその娘スアンが電車に乗ってからは一切退屈に思う時間がないくらいのジェットコースター感を味わえます。

 

物語としても多少の強引さは感じるもののキャラの死亡をためらわない思い切った采配と、
ゾンビ映画の定番とも言える「外界の情報がほとんどない状況下」での逃避行と言う移動している電車の中なのに閉塞感を覚える作りが新鮮で、行き着く先の不安さを一緒に味わえる作品となっていました。

 

主人公のソグ自身の成長物語としても良く、仕事人間で自分以外の事をあまり気にしない利己的なソグの考えが、危機下において徐々に全員を助けようと変化していく様も感動的です。

 

あまりにも今作が良かったので前日譚であるアニメーション映画『ソウル・ステーション/パンデミック』も観たいのですが、果たして地元ではやるのでしょうか……。

【映画レビュー】氷菓【65点】

かなり原作に近い誠実な作りの実写版 

映画チラシ 氷菓 山崎賢人 広瀬アリス 小島藤子

映画チラシ 氷菓 山崎賢人 広瀬アリス 小島藤子

 
・短評

気にならない程度のオリジナル描写に留め展開は原作に忠実。

 

・あらすじ

省エネと言う生き方をモットーにする折木奉太郎山崎賢人)は廃部寸前の古典部への入学を姉から強制される。
しかし、部員ゼロと聞いていた部室には莫大な土地を持つ豪農の家の才女、千反田える広瀬アリス)がいた。
ひょんなことから千反田に興味を持たれ親友の福部里志岡山天音)と共に古典部に入ることになってしまった折木だったが、千反田が古典部に対し特別な事情を持っていること知り……。

 

・感想

米澤穂信による同名小説を今年の実写化映画の顔、とすら言える山崎賢人主演で映画化した作品。

 

過去にこのブログで『愚者のエンドロール』を紹介したこともあるように、僕はこの原作シリーズが大好きで深夜アニメ化される際は深夜アニメと言うだけで強い拒否感を抱いたことすらある迷惑な原作厨でした。

読書の秋に勧める小説十選・後編 人が死なない推理小説・その他編 - a picture is worth a thousand words
ですが、アニメ版の『氷菓』は原作から逸脱することはほとんど無い上に、原作で分かりにくかった部分をしっかりと補うような演出もある良作で原作ファンにも納得の作品だったのです。

 

と、そんな前例が同作品であるにも関わらず実写化を完全に舐め切っていた僕なのですが、映画館に足を運び良い意味で驚かされました。

 

尺の都合で台詞や端の設定に変更や付け足しはあるものの、本筋に関しては殆どの面で原作に忠実な実写化で原作に対する理解を深く感じることが出来ました。

 

特にファンの間で警戒されていた登場人物の演技面においてもそのクオリティは高く、山崎賢人折木奉太郎はこれまでの実写化で一番のハマり役に感じましたし、鑑賞前にはイマイチに感じていた広瀬アリスも折木がその目力に引き込まれる説得力を感じさせる目力でした。
その他のキャラにおいても演技は原作で感じた印象そのものが実写として行われていると思えるほどでしたし、原作ファンに括らずアニメ版のファンにも充分オススメできるほどだったと思います。

 

しかし、ここまで褒めておいて65点と言うのには少し理由があります。


原作を読んでいた時から感じていたのですが、この作品シリーズの特に第1作である『氷菓』はセリフ回しが高校生とは思えないほど大人びているのです。
いや、「粋人(すいじん)」なんて言葉、日常会話で聞いたことも言ったこともないですし、大人びているのレベルを越えて随分と意識が高いです。

原作からそこそこの違和感のあったセリフや文章を、実際に実写で映像化されるとその違和感はさらに強くなります。
俳優陣の演技のおかげで痛々しさは感じませんが、このような度々の違和感によって感情移入がしにくかったのはややマイナス点でした。(かと言ってどんな変更なら良かったのかも思い浮かばないのですが……)

 

そして、これに関してはもう完全に僕の問題なのですが、この米澤穂信による『氷菓』から始まる古典部シリーズの大ファン(特に2作目と4作目)ではあるのすが、僕はあまり1作目は好きではなかったりします。
ミステリーとしての部分にこじつけ感がぬぐえず、それは実写化されてもなお違和感がありました。
特に一番最初の推理である「部室の密室の謎」は尺をそこそこ使っていただけあって、その割にある人の行為が非効率的かつ危険度が高く納得できるものではありませんでした。

 

とは言え、原作にかなり忠実に作られた今作は、『氷菓』が好きな人には見て欲しいほどの原作への敬意が込められた作品なので、気になった方はぜひ劇場に足を運んでみて下さい。